NDロードスター(AT)に乗った

車検証及びコーションプレートを見忘れてしまったので、グレードと年式が分からない。マツダのHPを見る限り、ATが用意されているのはS Special PackageとS Leather Packageしかない。そして試乗車は間違いなく革シートではなかったので、おそらくS Special Packageだろうと思う。

今までのロードスターとは毛色が違う、トヨタ2000GTのようなロングノーズ・ショートデッキのうねうねデザインは、いかにも最近のマツダという感じかつ、高級スポーツカー風なデザインで、自己主張が強い。あまりクルマの外装に興味が無いのでとくに感動はしないが、内装のデザインは素晴らしいと思った。クルマを買ったらいつも見ることになる内装が良いと、気持ちが良い。

素グレードではないはずだが、ドアミラーの開閉は手動(ミラー調整は電動)だった。より良い走りのための軽量化が狙いなのかもしれないが、こうも凝った意匠のスタイリングなのに、手でドアミラーを開閉しなければならないのは少々滑稽な気もする。

クーペモデルに乗ると、いつもドアの重さが気になり、乗り込むたびにネガティブな気持ちになってしまうのだが、NDロードスターは乗用車よりも少し重い程度で、そこまで扱いにくさはなかった。ただし、ドアハンドルがなく、いまいち室内からドアの角度を制御しにくい。狭い駐車場だと気を使った。

屋根を開くと、使い勝手の良さに感動した。まるで傘のごとくササッと開閉できる。今まで乗った幌のオープンカーはミニカブリオレ・NCロードスターS2000くらいしかないが、ここまで気持ちよく開閉できる屋根は初めてだった。

シートと、チルトがないテレスコピックステアリングを調整する。シートは少々寝かせ気味で座ったほうがしっくりくるクルマのようだ。なんだか身動きの取れない感じは最近のマツダっぽい。BMアクセラもDJデミオも乗ったが、最近のマツダはどれも似たような感じだ。ロードスターはまだ視界が良いほうだが、アクセラは視界が悪いのにこのドラポジを強いられるので、高速をまっすぐ走るならいいが、街乗りは絶対したくないと思った記憶がある。

クルマが軽いというのは、すべての印象を良くするのだなと思った。正直全体の乗り味はDJデミオと大差ないのだが、このATはだめだ。ギヤ比とエンジンがなんだかあってない気がするし、機敏な変速についてこないので、これではスポーツ走行はとても期待できそうにないと思った。街乗り専用車になってしまう。今度MTに乗る機会があれば良いのだが。そしてATということもありそうだが、エンジンも全然回らない。7000まで一応回るが、本当にDJデミオと大差ない。いや、DJデミオよりもエンジンにパワー感がないかもしれない。

ステアリングの断面と径はかなり良い。握力がほとんど損失なくステアリングに伝わるし、クルマが身軽だから、気持ちよく曲がれる。ただ、機械と対話する感じではない。ちょっとパワステが効きすぎなのかもしれないし、色々かましてステアリングインフォメーションを殺してあるのかもしれない。基本性能の高さは感じるのだが、あえて何かで押さえつけられているような、そんな印象を受ける。結果的に、スポーツカーというよりも、ジャケットでも着て、さらっと乗りこなすのが似合う感じのおしゃれスポーティーカーくらいになってしまっている。

こんなデザインだが、高速は苦手なクルマのようだ。DJデミオの意外すぎる高速での快適さに比べると、だいぶ苦しい。自分ならこのクルマでは極力高速に乗らないようにすると思う。

もし自分が買うならば、MTにして、あらゆる快適装備を外して、素の状態で乗りたい。でもこの高級スポーツカー風デザインだとそれがあまり似合わない。

でもデザインに合わせて色々と快適装備をつけるなら、ATのほうがスマートな気がしてくる。でも2人しか乗れないし、狭くて荷物の乗らず、走りもそこそこ。何よりこのデザインのためにそこまでするのかと思うと、結果的に全体的な走り味には大差ないDJデミオに、サンルーフつけて買ったほうが「コスパが良い」のではと思えてくる。デミオにすれば、ついでにリアシートまでついてくるので買い物にも使える。

現状だと、デザインコンセプトとこのクルマ本来のコンセプトが噛み合ってないような気がした。というか、デザインに合うように、クルマ側が特性を調整しているような印象だ。いいのか悪いのかわからない、ちょっと悩ましいクルマだった。